佐原 小野川の舟下り
今までに数回佐原を訪れているが、小野川の舟下りは体験したことがない。今回は私の希望で乗ることにしていた。
船着き場は伊能忠敬の旧宅前にある。そばには通称「ジャージャー橋」と呼ばれる桶橋がある。30分ごとに木枠から水が流れ小野川に落ちる音がジャージャーと聞こえることから通称名が生まれ、この音は「残したい日本の音風景100選」に入っている。
船が着き次第出発するというが、団体客の予約が入り30~40分は乗れないと言われた。待つ間、伊能忠敬旧宅を見学(無料)した。忠敬はもとは九十九里出身で佐原の大きな商家(米売買や酒造り)・伊能家に婿に入った。忠敬が隠居するまでにはこの家の財産を10倍にしたという。学問の好きな忠敬は家業の合間に天文暦学の勉強を続け、49歳で隠居。江戸へ出て本格的に勉強を始めた。55歳から10回に分けて全国測量の旅に出たというから大した人だとあらためて思う。小野川をはさんで対岸に「伊能忠敬記念館」があり詳しい資料など展示されているが今回はパスすることにした。
やっと船に乗る。小野川沿いから見た船は屋根のないものだったが、私たちが乗った船は屋根付きだった。10人ほどの客を乗せ出発。はじめいきなりバックで動き出し、ちょっと川幅の広がったところで方向転換。モーター付きだが前後で長い竹の櫂を使用し、なれた様子で川幅いっぱいの船の向きをあっという間に変えた。その上驚いたのは、小野川に架かる橋は水面との差があまりなく低いため、その船の屋根が電動で低くなることだった。橋はあちこちにあるためしょっちゅう屋根が上下に動かされた。
船首の船頭さんが観光案内もするが、スピーカーも使わず話す上、私たちは後ろ側に座っていてモーターの音でよく聞き取れない。途中、その件を訴えたが、直後は少し大きな声をあげたがまた聞こえなくなり聞くのはあきらめた。波もなくするすると進む船の乗り心地は良い。両側に迫る石壁が情緒があり素敵だ。しかし、川幅狭く石壁が高いため、船から見る川沿いの古い建物は期待した景色でなく、上の方しか見えないのは残念だった。
唯一、石壁あちこちの隙間から顔をのぞかせた「花かんざし」の花が愛らしく印象に残った。パートに出て働いている友人がこの揺れに気持ちよく眠っている姿がほほえましかった。
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