猫屋敷化への物語⑥
母猫チャツーが率いる子猫たちの社会見学は毎日続いた。ところがある日、恐れていたことが起こった。社会見学から帰ってきたチャツー一家の子猫の数が一匹だけ足りない
「いったいどの猫だ?誰?」 それは「シッポナ」だッた。シッポの先が曲がっていて▽顔のその子は私が最初に見分けられた、気になる存在だった子猫だ。チャツーはというより母猫って自分の子供の顔や数は覚えていないのか??シッポナのことがとても心配になる。近所の原っぱや空き地など探してみたが姿がない。おいてきぼり?それとも交通事故?それだけはないと信じたかった。
シッポナは次の日もその次の日も現れなかった。やっぱりもうダメかも・・・まだ3か月足らずの子猫だから生き抜く力は少ないかも・・・あきらめかけた三日目。
庭で子猫が盛んに鳴く声がした。「どうしたのかな?」と庭を見ると、なんと心配していたシッポナが自力で戻って来ていた。良かった~~!安心したのは束の間・・・・。
よく帰って来たね~と受け入れると思ったのに、母猫チャツーは「シャーッ!」と言ってシッポナが近づくと怒るのだ。たった三日間離れていただけで自分の子猫を忘れてしまったのだろうか?シッポナは盛んに母親に近づいて鳴くことを繰り返す。母猫は拒絶の怒り声をだす。
「ママ、僕なんとか戻ったよ!ごめんなさい。」「あんたなんか私の家族じゃないよ!あっちへ行きなさい!!」
私には母猫が本気でシッポナを拒絶していると見てとれ、かわいそうでいたたまれなくなり、思わず庭に出てシッポナ救出作戦に出た。無我夢中だった。:
日頃、子猫たちは決して捕まりそうにはならず逃げ回っていたから本来なら捕まえられないのが当然だったはずだ。しかし、その時は何度かちょっと逃げるシッポナをなんとか捕まえることができたのだ。冷静に考えたらできないことをよくその時は可能にしたなと自分でも不思議に感ずる。この子を救わないと親から捨てられて今度こそ生き抜いては行けない、死なせたくないという思いが必死にさせ、その思いが成功に導いたんだと思う。
家中に入れてもまだ盛んに鳴くシッポナを長いこと抱いていてあげた。特に抵抗することもなく抱かれていたシッポナ。お腹をすかしていたので餌を食べさせると、安心と疲れから眠ってしまった。シッポナも偉かったなぁ。三日間飲まず食わずだっただろう。それを乗り越え、やっと我が家を探し当て帰ってきたのだから・・・。母猫の心理も今回のことでわかった。三日も離れていると、匂いも薄くなったり他の匂いがついたりしてわが子だとわからなくなるのかな?厳しい猫社会?動物社会だな~と感じた。
というわけで、チャツー一家の内の一匹「シッポナ」が我が家で飼われることになったのだ。その夜は私の布団に入れて抱きかかえるようにして寝てあげた。忘れもしない10月21日のことだった。
「庭で遊ぶ子猫たち」「何かにじゃれる子猫」
残念ながら、この時撮った写真には「シッポナ」は写ってない。救出後に撮影したものだ。(2011.11月撮影)
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