書籍・雑誌

2021/05/28

安野光雅さんの絵②

再度、図書館から安野さんの絵の載った本と絵本を借りてきた。

本を探すときに備えつけのパソコンで調べてペーパーに印刷する(頭で覚えられるならいらないが…)のだが、あらためて安野さんの著書の本の多さに驚かされる!👀何ページにも渡るから。

「繪本  歌を訪ねて」

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ジャンルは幅広く童謡、文部省唱歌、民謡、外国民謡、愛唱歌等、40曲選ばれている。

安野さんのその歌のイメージ画が素敵で郷愁を誘われるし、その歌にまつわる安野さん自身のクスっとなるエッセーが書かれている。各歌の全歌詞を載せたページの脇にある草花の画はイメージ画とは異なる細密に近くそれもとっても素敵なのだ!

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もうひとつ、紹介します

前回はきつねがひろったイソップ童話だったがそれがなく、グリム童話になるので了承いただきたい🙏

きつねがひろったグリム童話

「漁師とおかみさん」

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「あっぱれ四人兄弟」

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この本の挿し絵?イラストはまたちょっとタッチの違う絵だ。色彩が淡くて嫌味が無いのは同じだが。

グリム童話の元のストーリーの和訳は書かれているがおもしろいのはきつねの子が拾ったグリム童話を父親きつねに読んでとせがまれるも字が読めない父親が読めるフリをしてその絵を元に適当なストーリーを作り読んでみせると言う設定。しかも出任せで読むので「一度しか読まないからな」と前置きしてしぶしぶ読み始めるのだ。

これは安野光雅さん自身が作り上げたストーリーなのだ!そのユニークな発想がまた楽しい🎶

まだまだ安野さんの本はたくさんあるが文学作品はもちろんエッセイにしても必ず安野光雅ワールドの絵が目を引く!

今度は即興詩人や平家物語等の力の入った文学作品の本を安野さんの絵を堪能しながら読んてみたいとは思っている。


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2021/05/07

安野光雅さんの絵

図書館で借りてきた安野光雅さんの本は「旅の絵本Ⅰ」「旅の絵本Ⅱ」「繪本  歌を訪ねて」「きつねがひろったイソップものがたり」「安野光雅〜キャンバスが絵になるとき〜」⇐(この本は大きく分厚い。安野さんと仕事で関わった方々の安野光雅さん評。でも表紙にはじまり中にある物はすべて安野さんの絵や写真)

安野光雅さんの絵は基本、淡い色の水彩画。細部まで良く描き込まれた絵だ。

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旅の絵本はシリーズで9巻ある。そのⅠはフランス。絵本といっても大人もじゅうぶん楽しめる。言葉は一切書き込まれておらず各々が絵から想像していく絵本だ。草原なら風にそよぐ草の音が聞こえて来るのだ、自然に!

そうそう、このシリーズは全て鳥瞰図式。今で言うドローン撮影の様な構図で全体が見え楽しい。

そのⅡはイタリア。

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賑やかな街中の様子。バレードが始まってそれぞれの人や物の音、雑踏がまさに聞こえてくる。そしてこの絵の中に必ず旅をする主人公?!(青い帽子、青い服を着て馬に乗っている人)がいるのだ。これはまるで「ウォーリーを探せ」だ。これまた面白い。また、各ページに細かい描写がされているのでひとつひとつを眺めているとけっこうじかんを要するが飽きないのだ。想像力が養われる楽しい絵本だと思った。

この絵本シリーズも含め著作のための取材で安野さんは100回以上はヨーロッパを訪れていたと聞く。しかもまるで旧知の場の様にレンタカーを借り自ら運転。その日の取材を終えてからその日の宿を探すなんてやり方での取材が多かった様子。なんかそんな事まで想像すると益々愉快。

※お断り

歌を訪ねてや狐のひろったイソップ物語等の本は図書館に返却してしまったので説明をしてもピンと来ないと思われます。

後日、再度借りて絵を載せ紹介しながら記事を書きます。

ひとまずこの記事はここまで………🙏

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2021/04/06

安野光雅さんの事

安野光雅さんは言わずとしれた絵本や装幀作家だ。安野さんの絵はどこかで見たことがあり素朴で味のある絵をお描きになる画家だなとは感じた事はあった。

でも、じっくりとは鑑賞することもないままだった。

ちょっと時間が経ってしまったが、その安野光雅さんは昨年(2020)の12月下旬に94歳の生涯を終えられてしまった。

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あらためて安野光雅さんの絵を見てみたいと思い、年が明けてから図書館で何冊か借りて見てみた。

そして安野光雅さんの絵は想像以上に素敵なことを知ったしだい。

更にその人柄から関わった人からとても愛されていた事も分かった!

もっともっと素敵な絵を描いていて欲しい画家だったな〜とたいへん惜しく感じた。

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この年になると最近、有名な著名人や文化人の方々が亡くなってしまう知らせを多く聞くようになった。

人間がいつか通る道なのだがやはり切ない‥…………😓

次の記事で、安野光雅さんのいくつかの作品を紹介していきたいと思っている。


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2019/07/16

ムーミンの世界

先月、今年3月にオーブンしたばかりの「ムーミンバレーパーク」に行ったのをきっかけにムーミンの事を知りたいと思い図書館から数冊のムーミン童話全集を借りてきた。

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先ずはこれ!

ムーミンって、いやムーミン谷に住む仲間はほとんど[冬眠する]んです!始めて知りました。

ヘムレンさんの楽しみは?

ニョロニョロの島って?

飛行オニは何者?

ムーミン屋敷に現れた小さい小さい生き物(ムーミンバレーパークのムーミン屋敷でもこの子たちの話題がでました)はなぜやって来たのか?

へ〜そうだったんだ!って納得するばかり。

これは全集の2巻目だったので1巻から読めばよかったかな?お話は登場人?物が少しづつ増えていくのですでに知っているキャラクターともどうやって出会ったのかとか知っていた方がお話に深みが出てくると思うので…その点はちょっと迂闊だったなと反省。

続く

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2019/03/20

ターシャの本

前記事のNHKBSプレミアムの番組紹介サイト「ターシャの森 ひ孫たちの秋から冬へ」 
興味のある方はどうぞご覧ください!かわいいひ孫のエリーとケイティの画像がたくさんありますよ~
この番組を見て無性にターシャの絵本を読みたくなった。久しぶりに地元の図書館へ。PCで検索するとターシャ関連の本はたくさんあるが、なぜか絵本は置いてなかった、残念。その代わりにターシャ自身に関する本をできるだけ借りてきた。
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ターシャの住んでいたコーギーコテージ
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ターシャのクリスマスカード
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ターシャのスケッチの数々
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そして人形
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ぬいぐるみではない「人形」の写真はなぜかここに入らない(容量が足りないかも?)
いずれにしてもあらためてターシャのアーティストとしての多彩な能力にため息が出る😵⤴
最後の写真はかつて飼っていた三毛のコーギ犬の「フレディ」のぬいぐるみ
本物と見間違うほどですよね~
ターシャファミリーのホームページ(英語版)があるのですが、ターシャの絵が入ったグッズの販売もしてるし、コーギコテージを見学できるツアーもあるようです(年2回)できるものならいつかは訪れてみたいものです♥


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2016/05/21

動物翻訳家

「動物翻訳家   片野ゆか著」

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数か月前の新聞のおすすめ図書の中にこの本の名があった!動物は大好きだし、小学生の頃に読んだドリトル先生シリーズのように動物の言葉がわかるのかしら?って興味をひいて取り寄せてみた。
読み始めは冬の日だったのだが、日常では中々集中して読めなくて用事でどこかへ出かける際の電車内で主に読み進めるのみ。読み終えたのがゴールデンウイーク中、と1シーズン超えてしまった(;;;´Д`)ゝ章ごとに 感動の嵐が押し寄せ、電車内でも涙があふれてきてしまい、顔をあげられず指でそっとぬぐうを繰り返した。
動物翻訳家とあるがサブタイトルに(心の声をキャッチする飼育員のリアルストーリー)とある。そう、動物園の飼育員がその翻訳家なのだ。
「環境エンリッチメント」という言葉をはじめに理解しないといけない。動物園の飼育現場で使われている言葉で、すべての動物には心があるという概念が軸になり彼らの日常を充実させ楽しい時を増やす行為や工夫のこと!決して人間側の自己満足ではない。相乗効果で動物たちの健康維持や異常行動の緩和に高い効果が出ているそうだ。
NPO法人市民ZOOネットワークという団体があり、この環境エンリッチメントの普及啓発活動をし飼育環境向上や活性化を応援している。その団体が毎年「エンリッチメント大賞」といって各動物園で導入している取り組みの審査・表彰を行っているそうだ。そこで著者はどんなことが行われているのか?と大賞を獲った動物園の取材に回りそれぞれの紹介をされた本だったのだ。
今回紹介されている動物はペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリンの4種。どれも想像以上のご苦労をされて動物たちの環境向上に努めている。動物に対する愛情、敬意が相当に深いということ。それに触れるたびに私の目からはポロポロとあふれ出てしまう涙。読み終えるとその動物園に絶対出かけたくなってしまう!紹介された動物にはもちろんのこと、飼育員さんにも会ってみたい衝動に駆られる。この本を読み終えて、今までの動物園に行くという軽い気持ちではなく、あらためてその裏での動物たちの思いや飼育員の方たちの大変なご苦労を少しは感じようとじっくり見に行きたい!まずは本の中で紹介されたキリンの子供が私の住む千葉県内の千葉市動物公園に婿入りしたとあるのでそのキリンに会いに行きたい!そして、ゆくゆくは茨城県の日立市かみね動物園のチンパンジーたち、埼玉県こども動物自然公園のペンギンたちに会いにいきたい。京都見物も兼ねて京都市立動物園へ足を延ばしキリンにも会いたいな。アフリカハゲコウは山口県の秋吉台自然動物公園だからちょっと遠すぎるかな~ヾ(_ _*) 
いずれにしても、この本を読んで紹介はされていない全国のその他の動物園や飼育員さんたちもそれぞれにご苦労があるだろうからその思いを踏まえて、それぞれの動物たちもじっくり観察しなけりゃという考えに変わった。
この記事を読んでくださった皆さん、久しぶりに動物園を訪れてみませんか?欲を言えばこの本を読んでから行くと一層動物園に親しみが湧くと思います!
Let’s go to the zoo!!
 

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2011/08/29

阿修羅のごとく 

 この夏に読んだ最後の本は向田邦子の「阿修羅のごとく」だ。

30年ほど前にNHKで放映した作品で、タイトルとその時に使用されたトルコの音楽だというすごく印象に残るフレーズと音のテーマ曲だけはしっかり覚えている。しかし、内容は全く忘れてしまっていた。

阿修羅とは?

ウィキペディアによると

「興福寺宝物殿の解説では、「阿修羅」はインドヒンドゥーの『太陽神』もしくは『火の神』と表記している。 帝釈天と戦争をするが、常に負ける存在。この戦いの場を修羅場(しゅらば)と呼ぶ。

姿は、三面六臂(三つの顔に六つの腕)で描かれることが多い。

奈良県興福寺の八部衆像・阿修羅像(国宝)や、京都府三十三間堂の二十八部衆像・阿修羅像(国宝)が有名。

日本語では、争いの耐えない状況を修羅道に例えて修羅場(しゅらば)と呼ぶ場合もある。激しい闘争の行われている場所、あるいはそのような場所を連想させる状況を指す。」

日常争いを好み、怒りの生命の象徴で争いの絶えない世界もさすとか・・・。有名な阿修羅像の少年のような顔からは想像できない神だ。もっとも、三面持つ顔の一つは怒っている顔でもあるが・・・。

前置きが長々となってしまったr(^ω^*)))

借りた本はまさに台本をそのままのせている。はじめは抵抗あって読みにくいなあ~と感じたが、ストーリーが面白いせいかいつの間にか違和感が無くなっていった。(内田百閒の「ノラや」と同じ状態)

その当時のドラマの配役が載っていたので、本を読みながらその俳優たちがしゃべっているのを想像しながら結構楽しめた。

簡単に言えば四人姉妹のそれぞれの人生を辛辣に、でもユーモアを交えて温かく描かれた作品。その中で描かれる男たちは情けない者ばかり・・・・。

女から見た男が描かれていて、視聴者も男性は見るのがたまらなくなり、女性は我が身のように見たとあとがきに演出を担当した、かの和田勉さんが書いている。

パート1の最終回の台詞に「女は阿修羅だねぇ」「勝ち目はないよ、男は」とある。

今も世の中変わっていないなぁと思う。肉食系女子に草食系男子だもの・・・。

向田邦子さんが飛行機墜落事故で亡くなって今年で30年になったそうだ。7月下旬から始まった向田邦子さんのドラマ「胡桃の部屋」を見ている。

まるで向田さん自身の家族構成だし、、妻子のある男性を好きになってしまう主人公は邦子さん自身のようだし、父が失踪しいわくのある女性方に住みこんでしまったり、姉が夫の浮気に悩んでいたり、妹は玉の輿になりそうだったりと、ちょっと阿修羅のごとくに設定が似ている気もすし、相変わらず男どもは何をやってんだか??って描き方だ。

いずれにしてもドラマは最終回近くでこの先どうなるんだろう?とハマっている私だ。

「阿修羅のごとく」はNHKのオンデマンドで配信されていることがわかり、あらためて見直したいと考えている。

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2011/08/23

向田邦子 暮しの愉しみ

向田さんを代表する作品「阿修羅のごとく」を探すため図書館内のPCで検索した際、その他の向田さんの書籍が案内された。

向田さんてどんな人?どんな女性だったのだろうと興味が出て、日常の向田さんを紹介するフォトエッセイ本を手に取ってみた。ふんだんの写真に楽しそうな向田さんの笑顔が満載。肩が凝らなさそうな本なので借りてみた。

手軽でおいしい手料理、食いしん坊ならではの器選び、こだわりの盛り付けに使用する食器、行きつけの店、猫好き、ブランドにこだわらないさりげないオシャレ、旅等

自分を主張し自分らしく生活する素敵な生き方が良くわかる。

もともと実家に住んでいた時、母親が炊事の手伝いをさせた。刻み物は邦子さんに任せられていて、勘のよい邦子さんはとことん努力し極める性分だった。腕を上げ、千六本を刻む包丁さばきはスピーディーで見事だったそうだ。(妹、和子さん談)

外食でおいしいものに出会うと作り方を聞き出し、自宅で早速作ってみる等は当たり前だったようだ。 

さらに、手際良く冷蔵庫の中の材料を使って作る簡単料理。好きな器に盛って食べたい!という思いから凝り始めた食器選び。極めるのが好きな向田さんはやがて骨董に惹かれていく。

その範囲は絵画、書と広がっていく。彼女の住むマンションの部屋にはそこかしことお気に入りの物が存在した。

また、着る物にもこだわる。仕事着は勝負服。書きものをしていて疲れのない形。よそゆ着以上にもとでをかけて作る。気にいったシャツは色違いで揃える。欲しい服が無ければ自分で作ったり(洋裁にもたけていた)、ここぞという時は友人のデザイナー(美智子様のデザイナー)に頼む等。

好きな猫は数匹飼っていた。そして、仕事の合間を縫っての旅。おもに海外に出かけていた。

人を誘って自宅でもてなすのが好きだったが、ついにおいしくて安くて女一人でも入れる和食の店を出してしまう。おかみは妹の和子さん。と言っても、時には邦子さん自身で腕をふるうこともあったという。

まさに向田邦子さんは衣食住を自分好みに楽しんで暮らしていらしたんだなあと羨ましく思う。

現実的には家庭を持つ一般的な主婦にはこのような暮らしかたは出来ない。

でもヒントはあるな~と思う。自分の身丈にあった範囲でのお気に入りの物を揃えたり、楽しんだりは可能だろう。そして、日々の小さな幸福を味わって過ごすことはできそうな気がする。 

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2011/08/20

ノラや 内田百閒

 「おまえなしでは生きていけない」というTV番組を見たのが縁で猫好きの作家たちの本を読み始めた。

 

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まずは、内田百閒の随筆集「ノラや」。明治半ば生まれの百閒の文章は昔の綴り方どおり(正式には歴史的かなづかいと言うそう、この言葉も勉強になった)ではじめは読みづらく抵抗があった。(例えば、○○がゐた とか 飼つてやらうかと云ふ とか お願ひ申します 等)。しかしそれも文章の面白さに惹きつけられしだいに慣れていった。

  ふとした縁で野良猫を家猫として飼うことになった百閒。その猫「ノラ」を愛し、猫の動作、しぐさを機知に富んだ文章で綴って愉快だったが、そのノラがある日失踪する。それからは猫好き読者としては百閒と同様、涙、涙だ。

序章は猫との出会い、家猫として飼うようになったいきさつや猫好きには「うんうん、そうそう」と言わせるエピソードが楽しめた。しかし、ノラが失踪してからの百閒の悲しみの文章にはとても胸が痛む。短い日記を付けていて毎日のように涙を流す百閒。探すために新聞広告、折り込みチラシ、英文広告まで数回出す。日記にはノラがいなくなってからの日数「○○日目」も綴り、広告を見て知らせてくれた人の家に妻や編集者、親しい者に向かわせ、時には埋められた死体までも掘り起こして確認させていた。

ノラがいなくなってから、次の野良猫が住み着くようになる。ノラ似のその猫はドイツ語で小さいという意味の「クルツ」と名付け、愛称「クル」で呼んだ。普通、次の猫が現れたら以前の猫のことは薄れていくと思われるのだが、百閒はいつまでもノラを探し続ける。ノラのいなくなった寂しさは2代目クルツでずいぶんと癒されただろうと猫好き読者として安堵した。

そのノラも5年以上生きた。ケンカっぱやくてずいぶんと怪我をして百閒をひやひやさせ、,動物病院にたびたび世話になった。ある夏の日、よたよた歩くクルツに往診を依頼。獣医は夏風邪に下痢だと言う。しかしその日以来元気をなくし弱っていくクルツ。職業柄、起きるのが遅い百閒だったが、心配でそれからは朝早く目覚めるようになり早朝クルツを覗き込む。往診は11日間も続けられた。そしてついにクルツは介護される中家族に撫でられながら息をひきとった。夫婦と女中の三人で号泣したと日記に書かれていた。

そのクルツの命日は昨日、8月19日クルツ、おまえは良く百閒先生をノラに変わって癒してくれたね、ありがとうと私からも言いたい。

失踪したままのノラと違いクルツは庭に手厚く埋葬された。

あらためて思う。百閒のノラやクルツに対する愛情は猫好きを自負する私でさえ遠く及ばない。ノラ(失踪後は知らないが)やクルツは幸せな猫生(人生ではなく・・・)だったことだろう。百閒は昭和46年に没。

その後は天国でノラやクルツと楽しく暮らしていることだろう。

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2011/02/21

蒼穹の昴

浅田次郎の「蒼穹の昴」を読み終えた。今感動し、さわやかな気持ちが私の心を吹き抜けている。

読むきっかけは昨年の秋から放映されているNHKの「蒼穹の昴」だ。<それ以前にはBSで字幕版が放映されている>。例によりTVにハマりだすとその先が知りたくて原作を読みだす。はじめは図書館で借りたが同じような人がいるのかリクエストがかかり返却の日までに早急に返さなければいけない。読みの進みが遅い私は分厚い「蒼穹の昴」の上巻を読み終えていなかった。自分もリクエストをして続きを読めば良いのだがそれまで待ちきれない。仕方なく、ネットで上下巻の中古本を購入したほどだ。

作者の浅田次郎は直木賞を取った「鉄道員(ぽっぽや)」を含む短編集を読んだきりだ。ぽっぽやは映画にもなったが、私の中ではその短編集の中の「ラブ・レター」の方が感動し涙・涙だったのを覚えている。(その後、この作品も映画化されたようだが見ていない・・・)

浅田次郎という作家を軽く見ていたのは確かだ。しかし、この「蒼穹の昴」の作品は素晴らしいものだった。ウィキペディアによると浅田氏はこの作品を書くために作家になったと言ったという。本当に力作だと思った。

物語は中国・清朝末期。以下はウィキペディアのあらすじより

「舞台は光緒12年(1887年(日本:明治20年))から光緒24年(1899年(日本:明治32年))までの清朝末期。貧家の子、李春雲(春児)は糞拾いによって生計を立てていたが、貧しい家族のために自ら浄身し、宦官となって西太后の下に出仕する。一方、春児の義兄で同郷の梁文秀(史了)は、光緒十二年の科挙を首席(状元)で合格し、翰林院九品官人法の官僚制度を上り始める。

朝内部では、西太后を戴く后党と、西太后を除いて皇帝の親政を実現しようとする帝党とに分かれて激しく対立していた。春児は西太后の寵を得てその側近として仕え、文秀は皇帝を支える変法派若手官僚の中心となる。

敵味方に分かれてしまった2人は、滅びゆく清朝の中で懸命に生きていく。」

NHKドラマは日中合作で監督は中国の方。俳優はもちろん中国人だが、なんとあの西大后役に「田中裕子」さんが抜擢されている。そして、日本人記者役に「小沢征悦」さん、その他に田中隆三さん、平田満さんも登場する。

ドラマももう最終に近い。再放送などあるようだったら是非見て欲しい。と言っても、原作からはだいぶ脚本されストーリーは違っているが・・・。

出来れば、原作を読むことをお薦めしたい。かなり長編ですが・・・読む価値大です!

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